ガラスの心

・いちゆきさん

『ガラスの中の私』というタイトルで、
1stミニアルバム『この場所から…』に収められているこの曲は
今回『路上集T号』の作成にあたって原案タイトルである
『ガラスの心』として収録されました。
この曲は、あいchanが東京へ上京してきた頃に書かれた曲で、
歌手になるという大いなる夢を抱いてやってきた東京の地に、
現実の厳しさを衝きつけられた自身の心境を赤裸々に綴った曲です。

ピアノのみの重みのある伴奏で始まりを告げ、
夢を失いそうな絶望感に包まれた心の叫びが辺りを支配していきます。
始まりの一夜ではそんなあいchanの打ち沈んだ姿が、更なる孤独感と絶望感。
そして、悲しみへといざなっています。

迎えた朝。
この一節では、たとえ自身を取り巻く状況が変わらずとも、
衝きつけられた絶望感の前に、見えずにいた人の温かさや、
どんな状況においても消えなかった自分の夢に対する強い思いが、
気持ちを前へと運んでくれています。

ガラスとは、壊れやすいもの。
しかし、何よりも透き徹ったもの。
だからこそ、その全てを映し出す事が出来るのです。
この曲では、『絶望』を感じたその重い心を『ガラスの心』として歌い込まれています。
絶望の夜ではそのガラスの心に前が見えなくなった自分が映し出され、
迎えられた朝には進もうとしている自分を見せています。
変わらない状況でありながら、二つの違った気持ちを巧みに歌詞へと取り込まれて、
最後にはそんなガラスを打ち破ってまで前へと進もうとする
更なる強い気持ちが表されていますね。
この時、あいchan自身を取り巻いた二つの気持ち、そして夢へと向う事の大切な思い。
それらをこの曲の中に暖めておきたいという思いから
『ガラスの心』が作られたのではないでしょうか。

(2006.04.22掲載)