2012年9月15日 サンエー経塚シティ インストアライブ
@サンエー経塚シティ 1階中央コート(沖縄)

・演奏曲目

旅立ちの日に…
12個の季節〜4度目の春〜
大丈夫だよ
カケラ

・レポートその1(ひいらぎさん)

那覇空港に到着したとき、
あの沖縄特有の圧倒的な暑さではなく、
心地よい温度を、感じたのが、印象的だった。
今、思えば、それはすでに
台風の接近を告げる事実だったのかもしれない。
空港から具志川メインシティに向かう
車で一時間程の道のり、
何度も強い雨に、遭遇した。
すでに翌日のライブの中止が発表されていたから、
会場に到着しても、今日のライブがちゃんと開催されるのか、
ちょっと心配だった。
キーボードがセッティングされ始めて、
ようやく安心した。
「The Starting Point」ライブ会場限定CD発売
そういう看板も設置される。
もう少ししたら、川嶋さんの歌が聴ける。
それが、本当に嬉しかった。

サンエーは、具志川も経塚も那覇も、
中が見通せる2台のエレベーターを背に、
エスカレーターや階段を左右にした、
五階吹き抜けのスペースにステージが作られていて、
ステージ前にはたくさんの椅子が並べられていた。
サンエーは、どこもとても人で溢れた活気のある店舗で、
広い駐車場も一杯で、なかなか車が止められない。
レジにも買い物客の長い行列が出来ていた。
そういう感じだから、ライブが始まる頃には、
ステージ前にはたくさんの人が集まり、
二階からステージを囲うように見てる人も一杯いた。
そういう雰囲気が、とてもいいと思った。

テキパキとリハーサルを行う川嶋さん。
リハはいずれも「空色のアルバム」。
その歌声とメロティーは、ほんの数フレーズであっても、
いつでも私の心に、優しく沁みわたってゆく。
当たり前だけど、リハの川嶋さんは真剣で、
そんな表情も、これから始まるライブの期待を高めてくれる。

一旦さがって、
進行役のアナウンスで、あらためて登場する。
たくさんの拍手に迎えられる。

「沖縄の皆さん、こんにちは〜っ、川嶋あいです。」
「猛烈な台風16号の中、こんなにたくさんの人に集まって頂いて、」
「ありがとうございます。」
「沖縄でのライブは久しぶりで、本当に楽しみにして来ました。」
「初めて見る方も多いと思いますが、楽しい時間を作っていきたいと思います。」

旅立ちの日に…

この日は、本当に素晴らしい歌が、歌われていた。
具志川でも、経塚でも、その歌われたすべての歌が、
私には、いつも以上にクリアーに、とても良く伝わってきていた。
「大丈夫だよ」も、
「12個の季節」も、
「旅立ちの日に…」も。
「天使たちのメロディー」や「カケラ」は、
研ぎ澄まされたような、それでいて深い色合いを放つようですらあった。


「私は路上ライブを始めて10年目で、」
「今年の6月に、記念の限定CDを発売しました。」
「路上ライブ1000回という目標で、東京でずっと歌っていた曲です。」
「ちょっとせつない、片想いの歌です。」

12個の季節

吹き抜けに響く音の感じがいいとか、
この沖縄という風土の心地良さとか、
会場の雰囲気のよさとか、
いつも以上に私の感受性が豊かになっていたのかもしれない。
でも、なにより、
川嶋さんの、丁寧に、伝えようという気持ちが、
強かったんじゃないかと感じた。


「次は、応援ソングを歌いたいと思います。」
「誰かに、がんばれって励ますことがあると思うんですが、」
「本当に頑張り過ぎちゃったときに、」
「がんばれっていう言葉は逆にプレッシャーになってしまって、」
「そんなときは、”大丈夫だよ”って励ますのがいいと聞きました。」
「沖縄の言葉では、”なんくるないさあ”ですかね。大好きな言葉です。」

大丈夫だよ

川嶋さんの伝えようという気持ち、
それは、たしかに、伝わっていたんだと思う。

私の前の席に座る母親は、
川嶋さん歌に心地良さそうにリズムを取り、
川嶋さんの話す言葉一つ一つに頷いていた。
隣の席に小さな子供を座らせながら、
「がんばって、じゃなくて、大丈夫だよ」
って言う言葉に、深く頷いてる感じが、
何だかとても、印象的だった。


「私、昨日、沖縄に来まして、さっき、うるま市でライブをしてきました。」
「明日の宜野湾と那覇のライブは中止になってしまったんですが、」
「この台風で、今日、大丈夫かなって、」
「誰も来てくれなかったらどうしよう、って思ってたんですが、」
「たくさん集まってくれて、嬉しく思います。」
「また一つ、思い出になりました。」

例えば具志川でも、
「私、川嶋あいのライブを初めて見るひと〜っ?」
っていう問い掛けに、たくさんの手が挙がり、
「ああ〜っ、ほとんどですね。」
っていうくらいだったのに、
ライブ後の物販には、たくさんの人が集まり、
並べられたCDやDVDを、何枚も興味深そうに手に取っている姿が印象的だった。


「私は、途上国に学校を建てる活動をしています。」
「カンボジアで子供たちは、片道2時間かけて小学校に通っていて、」
「その子供たちは、みな、先生になりたいって言っていました。」
「その村で一番大きな家に住んでいるのが学校の先生で、」
「だから先生になって、大きな家を建てて、”両親を楽にさせたい”って。」

「私たちが普段忘れてしまっている、身近な、当たり前のことに、」
「もっともっと感謝していきたいと、考えさせられました。」

カケラ

川嶋さんは、ここ沖縄で、
これまで何度か歌う機会があったとはいえ、
名護のホールや那覇のライブハウスだけでは、
必ずしもすべての人に伝えることは叶わなかったかもしれない。
でも今日、こういうショッピングセンターで、
家族連れが、ふと耳を傾ける、
そういう機会に、たくさんの反響がある、
そういう感じが、何だかとても嬉しかった。

そういえば、
先々週の東栄町御園でも、
川嶋さんの歌に、多くの子供たちが本当に無邪気に楽しんでいた。
先週の稚内でも、
川嶋さんの歌を聴いた大人たちが、並んでベストアルバムを買い求めていた。

どんなところでも、いろんな人たちに、様々な形で、伝わる感じ、
それが川嶋さんの魅力の一つなんだと思う。


「お知らせですが、18時半頃からエフエム沖縄に出演させて頂きますので、」
「聞ける方は、是非よろしくお願いします。」
「この後、CDを販売します。」
「お買い上げの方には握手をさせて頂ければと思いますので、」
「よろしかったら、参加してください。」

ライブが終わり、物販に人が集まる。
握手会に並ぶたくさんの家族連れ、父親、母親、小さな子供たち。
その一人一人に、川嶋さんは、とても丁寧に、
ゆっくり時間をかけて、優しく接しているように見えた。

川嶋さんの笑顔が、なんだか柔らかく感じた。

そういう雰囲気からも、
今日の日のイベントの素晴らしさが、伝わるようだった。
あたたかさの伝わる時間、
そういうのを感じると、これからがもっともっと楽しみになる。
これからもたくさんの人たちに、
その歌と想いが、届いていって欲しいな。



イベントが終わって、ラジオを聞く準備へ。
台風との関係は分からないけれど、
カーラジオから流れてくるエフエム沖縄は途切れ途切れで、
車外の雨風は、いよいよ強さを増してきていた。
結局、生放送予定の川嶋さんは登場しないまま番組終了。
その後、ラジオから流れてくるニュースでは、
ゆいレールの運休、バスの運休が告げられ、
各航空会社は欠航を発表。
うるま市など5万弱の世帯では停電らしい。
私の携帯メールには、那覇市と浦添市から、
それぞれ自主避難のエリアメールが届く。

今日は早く閉めるという夜の店で、
ああ、帰れないのかな・・・、とか話しながら、
どんどん強くなってゆく雨風の中、
でも心地よい余韻を感じながら、皆それぞれの宿泊先へ。

翌朝起きたら、台風16号沖縄上陸、
暴風雨真っ只中・・・。


16日のイベントは、いずれも台風で中止。
ちょっと残念だけど、
その分、川嶋さんがゆっくり出来たなら、それでいいかな。

思い出深い時間でした。
また、沖縄来たいな。

(2012.09.18掲載)