2012年6月23日 路上ライブ
@代々木公園入口(東京)

・演奏曲目

天使たちのメロディー
旅立ちの日に・・・

・レポートその1(ひいらぎさん)

もう、今日なんだな。
結局、日が変わってからしか帰宅できない毎日が続いても、
仕事から帰る夜道、いつもより少しだけ、気持ちが穏やかでいた。
とにかく、目の前のことを頑張ってみる。
そうすれば、いいことがあるはず。
もう少ししたら、川嶋さんの歌が聴ける。
それだけで良かった。
夜の街の静けさを感じながら、
気付けば、いつもより軽やかに歩んでいた。

ヘッドフォンから、繰り返し「天使たちのメロディー」を聴いてみる。
私自身、ふと何かを振り返っていた。
そんな気分だった。
2012年6月23日という日を、
とても楽しみにしていた。



今年、川嶋さんはパラグアイへ足を運んでいた。
そういう歩みに、私は好ましさを感じていた。
春が過ぎ、川嶋さんはライブハウスでライブを行うという。
渋谷公会堂で人を集めることの出来る川嶋さんが、
eggmanでライブを行う。
そのライブは、
「The Starting Point」と銘打たれていた。

”その場所”ではなく、
道路を挟んだ向こう側から伝えること、
もしかしたら、
叶えたかった夢に向かって
走り続けた日々の「出発点」を、
私の知らない、その頃の川嶋さんの気持ちを、
感じさせてくれるのかもしれない。
そんな気がした。
私は、繰り返される毎日の中で、
いつしかその日が待ち遠しくなっていっていた。



6月23日、
私は、昼前の穏やかな時間を、
代々木公園の長閑さの中で過ごしていた。
それは、とても静かな時間だった。
そして、
川嶋さんは、6月23日という日を、
eggmanではなく、
路上から始めた。

代々木公園入り口。
発電機のうなり、
”川嶋あい”と書かれた手書きの看板、
一台のキーボード。
川嶋さんは、視線の先に渋谷公会堂を見る形で、
歌い始めた。
路上1000回、最もたくさん歌い、思い入れも強い、
路上1000回、最後に歌った歌。

天使たちのメロディー

不思議な感覚だった。
私の前を、たくさんの人が足を止め、また通り過ぎてゆく。
その中で、川嶋さんは歌い続けていた
喧騒の中に、でも力強く、天使たちのメロディーが響いていた。
明るい、空の下で。

”私がここに生まれた ホントの意味はなに
絶望のとなりにはいつでも 希望がいたりするでしょう”

私は、天使たちのメロディーが好きだ。
その歌の中には、たしかに、川嶋さんの姿が垣間見えるようだった。
その歌を聴きながら、真剣さに包まれる瞬間が、私は好きなんだと思う。

ふるえるくらい、せつない旋律だった。
それでも変わらず、渋谷の街はエネルギーに満ち満ちていた。



川嶋さんは、この”10年”を、語っていた。
たくさんの支えに、感謝を伝えていた。
あの頃の自分を指して、”何かと戦っている”という表現を使い、
これからも、”炎のようでありたい”と言っていた。

あたたかく、照らし、照らされる炎のように

その熱い想いを、ずっと感じていたい。


そして、
10年前、初めて歌った歌。

旅立ちの日に…

カンボジア、南三陸町、そして、パラグアイでも、川嶋さんはこの歌を歌っていた。
川嶋さんの大切な瞬間には、いつでもこの歌があったように思う。
そして再び、スターティングポイントへ。
その都度、たくさんの大切な気持ちを重ねながら、多様な感動を伝え続けてくれる歌。
美しい、歌だと思う。

”つぼみから 花 咲かせよう”

おそらく、これまでたくさんの花が咲いてきたし、
これからも、咲いていくような気がする。
それが、川嶋さんの歩みなんだと思う。

「応援ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。」

そうか、川嶋さんが伝えていたのは、
10年前のスタート地点だけでなく、そこから始まった、
10年経った、”今日”という新しいスタート地点だったんだ。

素敵だったな。



終われば、周囲はいつもの街の風景に戻っていた。
ふと、道路の向こうの渋谷公会堂を眺めた。
もしかしたら、
多くのファンと比べて、
私はまだ、そこへの思い入れは少ないのかもしれない。
それは、川嶋さんのストーリーであり、
私の背景ではない。
でも、
その歩みが、その延長線上にあるからこそ、
私は川嶋さんに強く惹かれているんだと思う。

川嶋さんはいつだって、
感謝と、人としての正しさを、私に気付かせてくれていた。
そんな気がした。

いつしか私は、
川嶋さんを通して未来を見つめていた。
そこには、あたたかな未来があるような気がするから。

ありがとう。




川嶋さんは、
この日、
ライブ限定CDを発売した。

一緒に

私は、その音源を、ずっと楽しみにしていた。
あの沸き立つような幸せの旋律は、
聴いているだけで嬉しさが込み上げてくる。

物販に並べられたCDに、すぐに手がのびていた。
手に取った瞬間、ただただ、嬉しくてたまらなかった。
早く聴きたい。
ドキドキしていた。
こういう時、
川嶋さんの歌が好きなんだなって感じる。

待ちきれなくて、その場で封を開けてみた。
歌詞カードを眺めた。
そこには、やっぱり、感謝の気持ちが綴られていた。
”支えてくれた全ての人達に
たくさんのありがとうを込めて。”

いつだって、川嶋さんの新しい何かを、待ち遠しく感じている。
それでいいんだって思う。
これからも、ずっと。



2ヶ月後、
今度は、あの道の向こうの渋谷公会堂へ足を運ぶ。
その時、私は何を感じられるだろう。

楽しみだな。

(2012.06.25掲載)