2011年8月24日 ゼノンナイトvol.0003 〜LOVE〜
@CAFE ZENON(東京)

・演奏曲目

旅立ちの日に・・・
大丈夫だよ
カケラ

・レポートその1(ひいらぎさん)

絶え間なく続く仕事を抜け、
20時にのぞみに飛び乗ってみた。
繰り返される24時間の中で、
このわずかな数時間は、
きっと私を支えてくれる。

雨の吉祥寺、
歩きながらでもガラス張りの店内がすべて見渡せるくらい、
とても小さな空間だった。

ゼノン・ナイトというイベント、
どこかアーティスティックな店の感じに、
ミスコンやペイントパフォーマンスなどが行われ、
いつもとはちょっと違った雰囲気があった。

ここは、カフェだ。
川嶋さんの前に三列の座る列ができ、
その後ろに二列の立つ列が出来る。
それで一杯だ。

これだけ凝縮された空間で川嶋さんの歌を聴くのは、
初めてだったと思う。

距離感だけでくくるべきではない、
おそらく一つの創られた世界だった。

いつもの彼と並んで立ってみる。
いつもの光景のはずが、
今日は少しぼんやりしていた。


多分、全部が夢みたいなものだったんだ。




「4月の初めに、宮城県の南三陸町というところに行ってきました。」
「まだ震災から3週間だったので、」
「瓦礫の山があって、どんな風に過ごしているんだろうって、」
「ショックな光景もたくさんあって、」
「行っていいのかなって思ってたんですが、」
「あたたかく迎えてくれて。」


「あの寒い中歌ってくれてた場面を、」
「想像しながら聴いてくれると嬉しいです。」

いつもよりキラキラして見えた川嶋さん、
この閉じられた空間に反響する
旅立ちの日に…


「人って、たった一つの言葉で、」
「ものすごく勇気づけられるものです。」
「私にとって大切な言葉を、」
「みなさんに贈りたいと思います。」

大丈夫だよ

ハッとするような音色だった。
私には、とてもとても優しい歌声だった。


「震災から半年たって、」
「全国各地で歌ってきたんですが、」
「みんなが何かしなきゃって考えてて、」
「その優しさの連鎖が、」
「少しずつだけど広がっていってるのかなって思ってます。」

カケラは、
いろんな事を思い出させてくれる。
素敵な思い出だけを、
あたたかい温度を。


こうやって一つ一つ、
大切な記憶を刻んできた。


まだ私は、この穏やかさの中にいたい。


もう少し、
叶うなら、ずっと。



より強く降りだした雨の中を、
最終電車へ向けて息を切らして走ってみる。

あの川嶋さんの笑顔を、
弾けるような輝きを、
また一つ胸に刻みながら。



やっぱり、夢だったのかもしれないな。

なんだか、素敵すぎて。

(2012.08.22掲載)